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ワインバトラー・ハーヴィ

第14回:「デザイナーの罠」

レストランやホテルを新たにオープンしたり、リニューアルしたりする際に、オーナーとなる方がレストランやホテルの経験者ならばさほど問題はないのですが、異業種からこの業界に参入する場合には、スタッフやシェフの他、計画を立てる時に建設会社、デザイナーやコンサルタントも雇います。

まずはオープンする日を決めてその日から逆算してデザイン起こし、設計図面等用意し、オーナーが雇ったスタッフ達と進捗を確認しながら進めて行きます。オーナーの「あ~したい、こ~したい」等の要望に沿って、設計図面とデザインが出てきます。この時に一番重要な事は、コンセプトがしっかりしているかどうかに掛かって来ます。得てしてオーナーは要望が多いので、絞り込みが必要です。

また図面を見て色々話し合いますが、図面だけですとイメージとか細部がボヤけるので、意匠(デザイン)が必要な訳です。意匠を描かせると図面だけより金額がかなり高くなりますが、図面だけで進むと後から大変な事が起こります。

最初の段階では、残念なことに、オーナーの意識したものとはかけ離れた図面が上がって来るのが普通です。それを、担当スタッフ、シェフ、コンサルがオーナーと見て話が始まりますが、ここでは収まる事はまず、ありません。何回かの討議の上、進捗はありますが、コンサルタントは当然、プレゼンテーションが上手ですからお金の事は関係なくバンバン提案します。

デザイナーは、営業や運営の面より、往々にして見た目を重視しますから、サービスしやすい動線やゲストの使うテーブルの大きさや椅子等、機能面はあまり考慮しません。また外国のデザイナーに多いのですが、市松(いちまつ)模様等、日本の古い方達はよく存じ上げているとは思いますが、特に商売に使うと縁起が悪いデザイン等を平気で使って来ますし、最近の日本人デザイナーもそういう知識が不足していますから、放って置くと出鱈目なものが多いのも否めません。

ちなみに市松模様は「衰退する、無くなる、悪くなる、良くないことが起こる」ということで、日本が敗戦したときに流行った模様なのです。こういうことを知らない無知なデザイナーが増えた事は残念ですが。ところで最近この市松模様があるものに使われていました。気が付いた方は凄い人だと思います。この模様が出た瞬間、大変なことが起こると私は思いましたが、案の定、起きてしまいました。どんなことかは後にお教えいたします。

さて、話を戻して、店舗の責任者は、サービスのプロですから、これでは営業はできない。ゲストは冬場はコートがあるのでクロークはどこにあるのか、雨の日は傘を置くところも必要だし、スタッフの休憩場所や事務所をどうするのか、ロッカーは、リネン倉庫は?と色々意見を言います。

シェフもグリル、コンベクション、常温、低温ストッカー、荷捌きの搬入経路など様々な事を挙げてきます。建設会社は県や市の消防基準や衛生上の問題がないか等を基準に、ここにはこれは置けない等の制約条件を並べて来たり、それぞれが、各々の立場を主張して来ますから、もう大変な訳です。ここで、異業種から参入するオーナーは、得てして、デザイナーとかコンサルタントの言う事に耳を傾けてしまう傾向があります。これが大失敗の元に成ります。

私がオープンを手掛けたお店はたくさんありましたが、その一つに、ホテルの中に日本で一番最初のシャンパンバーを作った時の事でした。このときのコンサルタントはデザイナーと兼任でしたが、イラン人の方でした。まずは図面と意匠を見ましたらとんでもないことに気が付きました。サービス導入上、食器の下げ場がありません。

また図面では、解らなかったのですが、意匠を見たら、皿が乗るようなテーブルではなかったのです。私が指摘すると、そのデザイナーは、「シャンパンを飲ませるだけなのに何故、そんなに大きなテーブルがいるのですか?」しか言いません。私は「昼はランチ、ディナーまではティータイムでも使うのです。シャンパングラスが載るテーブルだけではすまないのです。」と…

しかしながら、総支配人は残念なことにそのデザイナーが有名店を手掛けていたために私より、デザイナーの言い分を優先させました。シェフも怒っていましたが、料飲(レストランやバー部門をこう言います)のことが全く分からない総支配人でしたので、これは異業種から参入したオーナーみたいなものです。

蓋を開けたらば案の定、大混乱。ゲストが使った食器はなかなか下げられない。料理は、テーブルに載らない等、懸念していたことが起こりました。そこで、副総支配人に直訴して36階のバーラウンジで使っていた古くて廃棄予定のテーブルを急遽入れてもらい交換することにしました。デザイナーとの契約では、そのデザイナーが仕様した店舗のデザインを最低限1ヶ月は使用しなくてはならないというバカな契約がありましたので1ヶ月たったら変えてしまえと言うことでムリクリ変えてしまいました。

下膳置き場もレジの位置と取り替えて、スムーズにしました。これでまともなオペレーションが出来るようになり営業も順調になり売上も1日5万円位のチンケなラウンジから、日商35万円のシャンパンバーへリニューアルしました。

2カ月後、そのデザイナーが急遽現れて、テーブルを変えたことに激怒し、総支配人室に駆け込んで、文句をタラタラ言ったらしかったのですが、1か月過ぎたので現場のオペレーションを優先させたと説明しましたようでしたが、帰るときに捨て台詞を散々並べていったようです。その他、アメリカの有名店を渋谷に作る時や、デパートの中にパンケーキのお店を作る時も同じようなことがありました。

では、一発ですんなり通る場合とはどんな時でしょうか?それはオーナーとなる方が自らお金を出し、その業界に少なくとも10年くらいは従事した方が手がけると徹底的に先陣を切って仕切りますから、必死な分、上手く行くケースが多いようです。もちろんコンサルタント等、雇わず自分でやります。

現場を知らないコンサルやデザイナーを使う時は注意しないと、お金だけかかって、本当にスタッフが働きやすい職場はできません。「デザイナーの罠」として記します。

by ハーヴィ

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