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ワインバトラー・ハーヴィ

第2回:「色々なサービス業」

前回お話ししたように、私にとっての大学生活は親に学費は出して頂けましたが、仕送りとしての生活費は2万円の補助しか頂けませんでしたので苦しいものでした。そして、入浴も出来ませんでしたのでお風呂付きのアルバイトをした他、掛け持ちで週に1回の家庭教師とブライダル関係のアルバイトをすることになりました。

ブライダルの仕事は、現在ではもうその会社はあるかどうかは分かりませんが「ブライダルプロジュース」という会社が披露宴の会場で宴席を華やかに見せるための演出のお手伝いをする事をやっており、高校の友人から誘われてやってみることにしました。どんな仕事かというと、披露宴の際にお色直しで戻って来た新郎新婦がキャンドルサービスをして高砂テーブルの横にあるメインのキャンドルに点火したときに、横から黒子の様にそっと現れ、小さなボックスに入ったドライアイスの箱から煙を出すという仕事です。現在ではどの式場もこういう演出効果の設備があるとは思いますが、37年以上も前にはこういう装置を作ってケータリング(出張宴会)の様に演出をする会社が幾つかありました。

この装置の仕組みは単純で、まずはその式場に入ると調理場に行きお湯を寸胴鍋に入れます。そして、あらかじめ用意していたドライアイスを冷凍庫で保存してもらいます。お色直しに出かけるとその機械の中の上部に籠があり、その中にドライアイスを入れます。籠の下には電熱線で暖められた寸胴にお湯が入っていて、箱の上部にはドライアイスの出る煙の角度が調節できる隙間の空いた蓋があり、この蓋には箱に空気を送り込むファンが取り付けられています。そして新郎新婦がメインテーブルのキャンドルに点火するほんの数秒前に箱のそばに行きファンを回し、更にはドライアイスの籠を熱湯の寸胴に落とすのです。すると勢い良くドライアイスの煙がモクモクと上がり、ファンに乗って煙が宙に舞います。すると会場から「おおぉ~!」と歓声が上がるのです。但し、その会場のエアコンのファンの位置や会場ドアの開閉によっては風の流れがあって、綺麗に舞い上がらず、かえって新郎新婦がドライアイスの煙で隠れてしまったり、酷い時にはキャンドルの火を消してしまうこともありましたが、介添え人が直ぐに火をつけてくれて難を逃れたこともありました。

大学生になってつくづく思った事は世には色々な仕事があるなぁという事です。因みに、このサービスは一回1万円で販売していました。でも良く考えてください。結婚式は土日祭日に行われるのが普通でしたので、週末のみに特化したアルバイトになる訳です。現在、アルバイトでも各都道府県で最低賃金が決められていますが、その当時のアルバイトの時給はいくら位が平均だったか想像つきますかね? 当時は400円から430円が相場だったんです。今では信じられないでしょうが…。でもこのブライダルのアルバイトは900円もらえたので、飛びついたのですが、いかんせん回数が少なくて稼げませんでした。風呂付夜警のアルバイト、家庭教師のアルバイト、ブライダルのアルバイト、月間合計で4万円にもならなかったので、いよいよ何処か定期的に食事がついて週に6日働けるアルバイトはないかな?とぶらぶら横浜駅まで出かけた事を今でも思い出します。そして焼鳥屋のチェーンに何となく心惹かれて面接に行きましたら、「今うちでは募集は出しているけどちょうど埋まってしまい、同系列のお店でビアレストランならば空きがあるからそこでもいい?」と言われたので、そこに決めました。スタートの時給は400円、交通費、賄い付き、大入り日は、その日の売上が30万円を超えると大入り袋に現金で100円入れてくれるとのことでした。

さて、そこでの仕事は学校が終わって夕方16時30分にお店に行くと、大きな氷の塊があってアイスピックで適当な大きさにしてカウンターの中のボックスに入れます。カウンター他の掃除やいわゆるバーの仕込みをする訳です。しかし驚いたのは、ミネラルウォーターの空瓶のケースが2ケースあってそこに蛇口からホースを繋いで水道水を充填します。これでは満杯に補充されていますので、上の方に輪ゴムを巻いた割りばしを輪ゴムの位置まで入れてあげると、適度に水が瓶からこぼれてミネラルウォーターが完成するのです。この水道水ミネラルウォーターを、誰が考えたのか知りませんが150円で売っていたのですよ!今ではそんな事をしたら詐欺ですよね。ぼったくりバーって言葉がありますが、水商売とは良く言ったものだと感心します。

ところで、皆さんは馴染みがないとは思いますがビアレストランというのは簡単に言うとビアホールとレストランが合体したような営業形態できちんとした食事もできますし、ビールにおつまみでOKの形態のレストランのことです。現在の皆さんは経験がないとは思いますが本当に食べるのが必死の学生時代でしたから、このアルバイトの最初の賄い食事は大きなハムステーキだったのを今でも思い出します。そしてようやく月間で8万円くらいのアルバイト収入を得ることが出来、ついに食事にも困ることは無くなりました。

大学の4年間はここでお世話になりましたが、私が大学3年生の時に、そこで働いていた店長さんの知り合いの方がふらっとお店に立ち寄りました。この方は通称ノブさんと言われて仲間内からは一目置かれているような存在でとても威厳のある方でした。このノブさんは青山のサバティーニというレストランでソムリエをしているのだよと店長に言われました。その時が私にとって「ソムリエ」という職業を初めて耳にした瞬間でした。

昔は良くありがちな事ですが、私がアルバイトをしていたこのビアレストランでは、調理場の人間と、ホールでサービスを担当する人間のとの関係は余り良くありませんでした。往々にして、調理場とホールのサービススタッフとは仲が悪いものでした。サービススタッフはゲストの声を優先しますからそのことを調理場へ伝えると、大概、調理の人間は「そんな事、出来ない」というのが普通でした。調理人というのは自分のリズムで仕事を組み立てますから何かイレギュラーな事は嫌います。ゲストからの要望で、それを、調理場からできないとゲストに伝える事ほどサービススタッフとしては辛いことはありません。私が働いていた時も、「もう少しこのお肉焼いてください」と頼まれても、「その肉はそれぐらいの焼き方の方が旨いと言ってこい!」等とも言われて困ったこともありましたし、「お金を払うからこの料理にこれとあれを加えて」とゲストが言っていると伝えてもやってくれなかったり、兎に角一筋縄ではいかない調理人が沢山いました。また陰口で「あいつは使えない!」とか、「バカ!」とか言ったりもしていました。その後私がホテルに勤務しても、レストランのマネージャーと調理長でさえ余り仲良くは無かったというのが本当のお話です。因みに現在ではこういう事は無くなりつつありますし、余り見掛けなくなりましたが…

少し話が逸れましたが、何が言いたかったかというと、レストランの中でソムリエと言うのはそういうホールサービススタッフと調理場のいざこざに巻き込まれることが少なく、逆に、調理人からも、ホールスタッフからも離れて一目を置かれている存在だったというのが、ノブさんの話で分かりました。何故ソムリエはそういう事に巻き込まれないかというと、これは、実に明確な事なのですがソムリエと言うのは常に、ワインの勉強を通して料理やサービスも勉強していたからなのです。ですから、調理人が何かを言っても大概のことは知っているので、調理人がソムリエをバカにすることは殆どありませんでした。そういう意味ではソムリエは調理や味付けはしないのですが、どうすれば料理がより一層引き立つか知っており、また、1+1が2以上になるサービスや補佐が出来るのです。そんなことからホール担当のウエーターやマネージャー達は、調理人から見ればただの料理の運び屋さんとしか映らなかったのかも知れませんね。(本当は違いますが…)

さて、今の若い方で、特に、ソムリエの資格を取得したのち、勉強をやめてしまうソムリエ?(←これは本当のソムリエと言えないと私は思いますが…)がいるので、というか見かけることが多く感じられますので、残念な時代かなと少しは思います。若かった私は、大学を出てデスクワークには余り自分は向かないなぁとも考えていた時期と何か知識を持たないとできないサービス業って付加価値が沢山あるなぁとも考えており、漠然と、サービス業っていいなぁと思い始めていた頃でしたので、この初めて聞いたソムリエとしての職人肌のノブさんの話に心惹かれていきました。

by ハーヴィ

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